多くの人に愛された懐かしの鉄道車両を官民連携で再現。赤字路線を盛り上げるためにAR・VRを活用したイベントで全国から1万人以上の集客を実現 - 御嵩町
岐阜県御嵩町

御嵩町の官民連携の取組について、同町の安藤様にお話を聞きました。本日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
御嵩町の官民連携の取組
最初に、御嵩町では地方創生SDGs官民連携プラットフォームをどのように利用していますか。
令和3年頃、私が内閣府の企画調整係に出向したときに地方創生SDGs官民連携プラットフォームの存在を知りました。その翌年に御嵩町へ戻ってきてから課題登録を行い、本格的に利用を開始しました。
この町は大きくないので、最新の技術を扱う事業者を見つけることがなかなか難しく、そのような分野の知見や技術を必要とする官民連携においては、本プラットフォームを活用するメリットがあると感じています。
また、マッチングイベントに参加することで、全国の事業者と官民連携の可能性を探りながらコミュニケーションを取ることができました。
この町は大きくないので、最新の技術を扱う事業者を見つけることがなかなか難しく、そのような分野の知見や技術を必要とする官民連携においては、本プラットフォームを活用するメリットがあると感じています。
また、マッチングイベントに参加することで、全国の事業者と官民連携の可能性を探りながらコミュニケーションを取ることができました。

最新の技術とは、具体的にどういったものでしょうか。
いわゆる「Web3.0」を中心に、AIやメタバース、NFT等の活用を想定しています。具体的な事業構想はありませんが、そのような技術を地方創生や地域課題解決に生かすことはできないかと、官民連携で知見を得ながら積極的に取り入れたいと考えています。
登録課題とそれに対する事業者からの反応
これまでどのような課題をご登録いただいたのでしょうか。
「岐阜県内における亜炭素採掘による地下空洞の把握について」「名鉄広見線(新可児駅駅~御嵩駅間)の利用者増加策について」「行政運営または地方創生におけるAI・メタバース・NFTの活用について」の3つを登録していました。過去に岐阜県と共同で行った防災対策の改善手法を求めるものや、具体的な活用方法や実現可能性がイメージできていないものなど、課題に対する取組状況はさまざまです。
幅広い分野でご登録いただいたのですね。どのような反応があったでしょうか。
登録してからすぐに多くのアプローチがあり、東京や沖縄など、全国の事業者から合計で10件以上の反応がありました。もちろん、意見交換だけにとどまるケースもありましたが、さまざまな角度からの提案があり、最終的におよそ5社から話を聞くことができました。
そんなに反応があったのですね。その後、成果に結びついた事例はありましたか。
「行政運営または地方創生におけるAI・メタバース・NFTの活用について」の事例で、登録した課題に対してお声がけいただいた事業者と、令和6年に「鉄道の思ひ出展」というイベントを実施することができました。これが一番大きな成果だと思います。

連携実績とその背景
実現したそのイベントについて、詳しく話をお聞かせください。
岐阜県内を走る名鉄広見線は100年以上の歴史があり、引退した車両を懐かしむイベントとして開催しました。当時実際に使われていた入場券や行先標の展示、特別講師を招いての講話を行ったほか、昔の車両をデジタル技術で再現する試みも実施しました。プラットフォームでお声がけいただいた事業者だけではなく鉄道会社や鉄道愛好家の方などにも協力いただき、結果として令和6年2月からの約4か月で1万人以上の来場がありました。

すごい数ですね。どういった狙いでそのイベントをすることになったのでしょうか。
御嵩町を走る鉄道路線は利用者の減少による存廃問題を抱えています。そのため、地域外からも利用客を呼ぶことが非常に重要です。プラットフォーム上でやりとりした事業者と話をしていくと、AR・VRを得意とすることが分かりました。その技術で昔の車両を再現すれば、地域住民だけでなく全国の鉄道ファンにも来ていただけるのではないか、というアイデアで実施に至ったという流れです。
素晴らしいイベントですね。当時の車両はどのようにして見るのでしょうか。
運転席や車内の様子を360度自由に見ることができるものと、来場者のスマートフォンやタブレット端末で迫力ある車体をARで出現させるもの、2つの方法で楽しむことができるようにしました。

御嵩町の官民連携における課題など
御嵩町の課題や、官民連携の障壁となっている点など、もしあれば教えてください。
冒頭で述べた通り、御嵩町で最新の技術を取り入れた課題解決をするには、地方創生SDGs官民連携プラットフォームを通じて全国の事業者の手を借りるのが適切だと思います。しかしその一方、地方創生SDGs官民連携プラットフォームを庁内全体では活用できていないのが実情です。また、課題を登録して運用しているのは私だけですが、仮に企業とつながりたいと考えている部署があったとしても、私がその支援をしていけるほどの余裕もなく、リソース面でも厳しい状況です。

庁内では、地方創生SDGs官民連携プラットフォームはどの程度認知されているのでしょうか。
庁内の数多くある事務連絡の一つ程度としか認知されておらず、「こんなに便利なサービスがあったのか」というところまでは広げられていません。個人としては良いサービスだと思いますし可能性を感じているので、多くの方に知ってもらいたいです。